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OSCコラム~Unlock Your Spine~ 背骨の「ズレ」の本当の意味は?骨がズレているわけではない?

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お身体の悩みでカイロプラクティックや整体に行った時、「背骨がズレていますね」と言われた経験はありませんか?

多くの方が、骨の配列がズレている、綺麗に並んでいないといったことを想像すると思います。

いつからかカイロプラクティックや整体の業界で聞かれるようになったこの言葉ですが、今回は「ズレ」に関して違った角度で書いてみたいと思います。

*2021年にカイロプラクティックの科学的な説明について、とても良いレビュー論文が発表されました。この記事の内容はその論文を参考にしています。

目次

脳と背骨の間にある大切な関係

人間の脳は常に、身体の関節や筋肉などの動きをモニターしており、それらを基に身体の状態を判断・把握しています。

しかし、偏った姿勢が続いたり、疲れやストレスが溜まったり、痛みがあっても放置していたりすると、背骨の動きのバランスがくずれてしまいます。

背骨の動きが悪くなると、その骨を含む関節や周りの筋肉から正しい情報(動きに関するものなど)が脳に送られなくなります。そうすると脳がその関節の動きを正しく把握できない状態になります。

脳は足りない情報を「予測」で補おうとする

脳は十分な情報が背骨から受け取れないと、足りない分を「過去の経験」と「こうあるべき・こうしたいという期待」から予想して補おうとします

そういった”脳がどこか足りない部分を補う能力”は素晴らしいですが、それらが常に正しいとは限りません。実際の身体の状態と脳が思っていることに”ズレ”が生じることもあります。

これが背骨のズレです(正確には背骨と脳の間のズレ)。

背骨からの情報と脳が出す指令にズレがあれば、何かしらの問題につながる可能性があります。少なくとも「なんだかあまり良さそうじゃないよね」というのは想像できるかと思います。

それは脳と身体が上手くコミュニケーションをとれていない状態になってしまうからです。

スマホのGPSで考えてみると

GPS信号が弱いエリアにいると、スマホは「たぶんこの辺にいるだろう」と推測して現在地を表示します。実際の位置とズレていても、スマホ側は気づかないまま案内を続けてしまいます。

背骨のズレも同じようなことです。脳が持っている「からだの地図」と、実際のからだの状態が合っていない。

その結果として、本当は動きが悪くなっている関節なのに、脳が筋肉などを余計に使うように指令を出してしまいます。

そのことが、関節や筋肉に余計な負担をかけてしまう、他の部位を過剰に働かせてしまう、関節の曲がり具合や実際のポジションが脳が考えているものと違ってしまう、といったことが起こる可能性につながります。

日常生活での例

  • デスクワークで長時間同じ姿勢が続くと、背骨周りの情報が脳に届きにくくなる
  • 古傷をかばって動かさないでいると、その部分の「脳の地図」が古くなっていく
  • スポーツで思うように身体が動かない、パフォーマンスが上がらないと感じる

こういった状態が続くと、脳と身体のコミュニケーションのズレが積み重なっていく可能性があります。

カイロプラクティックアジャストメントの役割

カイロプラクティックアジャストメント|OUMIカイロプラクティック立川

このズレを改善することは、身体にとって良いことになると思いませんか?

カイロプラクティックアジャストメントでは、背骨から正しい情報が脳へと送れるように関節に刺激を入れることを目的としています。

「この関節は本当はもっと動くんだよ!」と脳に教えてあげるようなイメージです。

そして結果的に、脳が関節や筋肉を通して身体の状態をしっかりと正確に把握できるようにサポートすることになります。

これらは、カイロプラクティックを科学的に理解する上でとても大切な視点です。

補足:骨自体がズレているわけではない

背骨のズレや歪みと聞くと、なんだか骨自体が歪んでいたり、脱臼・亜脱臼のような本当にズレた状態を想像してしまいがちです。

しかし、2021年のレビュー論文によると、背骨にくっついている筋肉のバランスがくずれることで歪んで見えているだけとされています。

カイロプラクティックでは、歪みやずれを直すというよりは、そういった背骨周囲の動きや筋肉のバランスを整えるという言い方の方が現在では正しいとされています。

すべり症など本当にズレていることもあるので、気になる方は専門家にチェックしてもらうことをおすすめします。

まとめ

「背骨のズレ」という言葉には、実は脳と身体の情報伝達のズレという深い意味が隠れています。

カイロプラクティックでは骨を無理やり動かして、配列を整えたりするのではなく、背骨の動きを改善することで脳との正しいコミュニケーションを取り戻すお手伝いをしています。

身体の不調・パフォーマンスの低下が続いている方は、もしかしたら脳と身体の「地図」がズレているサインかもしれません。

参考文献

  • Haavik H, Kumari N, Holt K, Niazi IK, Amjad I, Pujari AN, Türker KS, Murphy B. The contemporary model of vertebral column joint dysfunction and impact of high-velocity, low-amplitude controlled vertebral thrusts on neuromuscular function. Eur J Appl Physiol. 2021 Oct;121(10):2675-2720.

院長:近江

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