
院長:近江お気軽にご相談ください!
走るたびに膝の前側がじわじわと痛くなる、階段を降りるときにズキッとした痛みが走る、膝を曲げるたびにポキポキと音がする——そんな経験、最近気になっていませんか?
それは、膝蓋大腿疼痛症候群(PFPS)が関係しているかもしれません。ランニング愛好家の間では「ランナー膝」の一種として知られ、腸脛靭帯炎と並んでよく見られる膝のトラブルのひとつです。
今回は、膝蓋骨のトラッキングとポキポキ音の正体から、PFPSと腸脛靭帯炎の違い、日常でできるケアのポイントまで、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。


PFPSは原因を正しく把握して適切にアプローチすれば変化が出やすい症状です


「ランナー膝」という言葉はよく聞くかもしれませんが、じつはこれは特定の病名ではなく、ランニングによって起こる膝のトラブル全般を指す総称です。その中に含まれる代表的な状態がPFPS(膝蓋大腿疼痛症候群)と腸脛靭帯炎で、それぞれ原因も痛みが出る場所も異なります。
PFPSは、膝のお皿(膝蓋骨)と太ももの骨(大腿骨)の間にある関節に繰り返しのストレスがかかることで、炎症や痛みが生じる状態のことです。階段の昇り降りや長時間座ったあとの立ち上がりで症状が強まるのが特徴で、膝の前面や膝蓋骨の周囲が痛みます。
ランナーに多いとはいえ、デスクワーカーや体重増加後の方にも起こります。「スポーツをしていないのに膝が痛い」という方でも、PFPSであるケースは決して珍しくありません。
膝を曲げ伸ばしするときに感じる「ポキポキ」「ミシミシ」という音は、医学的に「クレピタス」と呼ばれます。音だけで痛みがない場合は問題ないこともありますが、音と同時に痛みや違和感を感じているなら、膝蓋骨が本来の軌道からずれて動いているサインである可能性があります。
健康な状態では、膝蓋骨は大腿骨の溝の上をなめらかにスライドしています。筋力のアンバランスやアライメントの問題があると、膝蓋骨が少しずれた状態で動き、そこに摩擦が生まれます。その摩擦音が「ポキポキ」として聞こえているのです。
「最近音が増えてきた気がする」と感じているなら、ぜひ一度身体全体のバランスを見直すきっかけにしてみてください。
膝蓋骨は、膝の曲げ伸ばしに合わせて大腿骨の溝の上を上下にスムーズに移動しています。この移動の軌道のことを「トラッキング」といい、正しいトラッキングが保たれているかどうかが膝の健康に大きく関わっています。
トラッキングが乱れる主な原因のひとつが、大腿四頭筋の筋力アンバランスです。特に膝の内側を担う内側広筋が弱くなると、外側の筋肉に引っ張られる形で膝蓋骨が外側にずれやすくなります。これにより、膝蓋骨と大腿骨の間で不均一な摩擦が生まれ、痛みや音の原因となります。
さらに、股関節外側の筋力不足や足部のアーチくずれ(扁平足)も、下から膝のアライメントを乱す要因です。「お皿が外側にずれている感じがする」「膝の外側に引っ張られるような感覚がある」という方は、トラッキングの問題が関与している可能性があります。
ランニングをしている方が「ランナー膝かも」と感じたとき、自分の症状がPFPSなのか腸脛靭帯炎なのかを区別することはとても大切です。それぞれ対処のアプローチが異なるため、正しく見極めることが早期回復につながります。
| 項目 | PFPS(膝蓋大腿疼痛症候群) | 腸脛靭帯炎 |
|---|---|---|
| 主な痛みの場所 | 膝の前面・膝蓋骨周囲 | 膝の外側 |
| 痛みが出やすい動作 | 階段・しゃがむ・長時間座位後 | 一定距離のランニング中・下り坂 |
| 特徴的な症状 | ポキポキ音・朝のこわばり | 灼熱感・鋭い刺すような痛み |
| 主な関与筋 | 大腿四頭筋(内側広筋)・中殿筋 | 腸脛靭帯・中殿筋 |
腸脛靭帯炎は「走り続けるほど膝の外側が痛くなる」という特徴があり、PFPSは日常動作でも幅広く症状が出やすい点が異なります。どちらも放置すると慢性化しやすく、早めの対応が回復のカギになります。
PFPSのケアで見落とされがちな重要な視点があります。それは「膝が痛いのに、根本的な原因が膝以外にある」というケースがとても多いという事実です。
膝は足首・股関節・骨盤帯から常に力学的な影響を受けており、膝だけに注目したアプローチでは根本的な解決に至らないことが少なくありません。
足部のアーチがくずれて足が内側に倒れ込む「オーバープロネーション」があると、その影響は下腿から膝まで連鎖し、膝蓋骨のトラッキングを乱す原因になります。インソールやシューズの選択が膝の痛みを左右することがあるのは、このメカニズムによるものです。
股関節の外転筋、特に中殿筋が弱い場合、走るたびに骨盤が着地側に沈み込み、膝への側方ストレスが増大します。膝だけをケアしても股関節に問題が残っていれば、状態が落ち着いてもまた症状が戻りやすいのは、このメカニズムが背景にあるからです。
「いくらストレッチしても膝の張りが取れない」「湿布では根本的に変わらない」と感じている方は、こうした全身のつながりを踏まえたアプローチが必要なサインかもしれません。
専門家によるケアと並行して、日常の中で取り組めることを積み重ねることが回復を早めます。状態を悪化させないための基本的なポイントをご紹介します。
ただし、痛みがある状態でのトレーニングは、やり方を誤ると炎症を悪化させるリスクがあります。「何をどのくらいやればいいか」は身体の状態によって変わるため、自己流での判断には限界があります。
PFPSは、原因を正しく特定して適切にアプローチすれば、ちゃんと変化が出てくる症状です。「何度試しても変わらない」と感じているなら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
あなたの身体の状態をしっかり確認して、最短で変化を感じられる道筋を一緒に考えていきます。ひとりで悩まずに、いつでも声をかけてくださいね。

