
院長:近江お気軽にご相談ください!

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顎の痛みや違和感が続いている時、「自分で何かできることはないだろうか」と思う方は多いのではないでしょうか。病院や治療院に通いながらでも、日常の中でセルフケアを取り入れることは回復を後押しする上でとても大切です。


ただ、顎関節症のセルフケアとして筋肉にアプローチする場合、どの筋肉をケアすればいいかを知らずにやみくもに行っても効果は限定的です。今回は、顎関節症のセルフケアにおいてアプローチすべき筋肉について、詳しくお伝えします。


どの筋肉に何をするかを知ることが、セルフケアの効果を高めます
顎関節症は、顎関節そのものの問題だけでなく、周囲の筋肉の緊張やアンバランスが症状に大きく関わっています。
関節の動きは筋肉によってコントロールされているため、筋肉の状態が改善されることで顎関節への負担が軽減され、痛みや動きの制限が緩和されることがあります。
セルフケアで筋肉に適切にアプローチすることは、専門家による施術の効果を持続させる上でも非常に重要な役割を担っています。
顎関節症の多くは、特定の筋肉が過度に使われ続けている一方で、本来しっかり働くべき筋肉が十分に機能していないというアンバランスが根本にあります。
このアンバランスを整えるためには、緊張している筋肉を緩めるケアと、弱くなっている筋肉を活性化させるアプローチの両方が必要です。どちらか一方だけでは不十分なことが多いため、自分の状態を把握した上でケアを行うことが大切です。
顎関節症に関わる筋肉は複数ありますが、特に重要なものを知っておくことで、セルフケアへの理解が大きく変わります。ここでは代表的な筋肉とその特徴について解説します。
咬筋は頬骨の下から顎の角にかけて走る、噛む動作の主役となる筋肉です。食いしばりや歯ぎしりが習慣化している方では、この咬筋が慢性的に過緊張状態になっていることが多く、顎の痛みやこわばりの主な原因になります。
触診すると頬骨の下あたりに硬いしこりのような部分が感じられることがあります。咬筋のケアは顎関節症のセルフケアとして広く知られていますが、その方法が自分の状態に合っているかどうかを確認した上で行うことが重要です。
側頭筋はこめかみから側頭部にかけて広がる大きな筋肉で、咬筋と協力して噛む動作を担っています。この筋肉が緊張すると、こめかみの締め付け感や頭痛、顎のこわばりとして現れることがあります。
長時間のデスクワークやストレスが多い時期に緊張しやすく、咬筋と並んでセルフケアの対象として挙げられることの多い筋肉です。
舌骨筋群は顎の下から首にかけて広がる筋肉群の総称で、顎を開ける動作や飲み込む動作に深く関わっています。咬筋や側頭筋と比べてあまり知られていませんが、顎関節症のセルフケアを考える上でこの筋肉群の状態を把握することはとても重要です。
舌骨筋群の中でも特に注目すべきが顎二腹筋です。顎の下から耳の後ろにかけて走るこの筋肉は、口を開ける動作の主要な担い手です。顎関節症の方では顎二腹筋に過剰な負担がかかりやすい状態になっていることがあります。
これは顎二腹筋自体に問題があるというよりも、周囲の深層筋のサポートが不十分なために代わりに働きすぎてしまっている、いわば代償的なオーバーワークと言えます。顎の下の重だるさや、口を大きく開けた時の引っかかり感はこの状態が関係していることがあります。
顎二腹筋の過剰な緊張を根本から改善するには、この筋肉を直接緩めるだけでは不十分なことがあります。大切なのは、顎二腹筋を含む舌骨上筋群のグループ全体が正しく協調して動けるようにバランスを整えることです。
「緊張を和らげたい筋肉」と「正しく使えるようにしたい筋肉群」が重なっているという点が、この部位のケアの難しさでもあります。
舌先を口蓋(口の天井)に軽く当てたままゆっくりと口を開ける動作は、舌骨上筋群を適切に協調させながら開口する練習として知られています。ただしこの動作が効果的な方もいれば、状態によっては適さない方もいます。必ず専門家の評価を受けた上で取り入れるようにしてください。
胸鎖乳突筋は耳の後ろから鎖骨にかけて走る首の筋肉で、直接的な咀嚼筋ではありませんが、頭部の位置を保つ筋肉として顎関節の動きに間接的に関わっています。スマホ首や前かがみの姿勢が続くと過緊張しやすく、顎関節症の症状と密接に関連します。
深頸部屈筋は頸椎(首の骨)の前面深部にある筋肉群で、頭を正しい位置に保つために重要な役割を果たしています。スマホ首や長時間のデスクワークによって頭部が前方に出た姿勢が続くと、この深頸部屈筋が弱くなりやすく、代わりに表層の筋肉が過度に働くようになります。
深頸部屈筋の機能低下は顎関節症と密接に関わっており、この筋肉を適切に活性化させるエクササイズが顎の症状改善に貢献することがあります。
あごを軽く引いてうなずくような小さな動作(チンタック)がその代表例として知られていますが、こちらも自己流で行うと首への負担が増す場合があるため、専門家の指導のもとで正しい方法を学ぶことが大切です。
翼突筋は顎の内側にある筋肉で、口を開ける動作と閉じる動作の両方に関わる複雑な機能を持っています。外側翼突筋は顎関節の関節円板と直接つながっているため、この筋肉の緊張が口の開閉時のカクカク音や引っかかり感に関与することがあります。
口の内側深部にあるため、セルフケアで直接アプローチするのが難しい筋肉のひとつです。
ここまで顎関節症に関わる主要な筋肉について解説してきました。最後に、セルフケアを行う上で特に大切にしてほしいことをお伝えします。
インターネットやSNSでは顎関節症のセルフケアに関する情報が多く発信されています。その中には参考になるものもありますが、個人的にはそれだけを頼りに見よう見まねでセルフケアを行うことはおすすめしません。
理由は明確で、あるエクササイズが効果的な方もいれば、同じことをやることで状態が悪化してしまう方もいるからです。
顎関節症の状態は一人ひとり異なります。どの筋肉が過緊張していて、どの筋肉が十分に機能していないかは、評価してみなければわかりません。正しい評価なしにセルフケアを続けても、的外れなアプローチを繰り返すだけになってしまうことがあります。
顎は身体の中でも特に繊細な部位です。そのため、顎関節症のセルフケアは専門家による評価を基に、自分の状態に合った方法を選ぶことがとても大切です。
どの筋肉にどのようなアプローチが必要か、どのエクササイズが今の状態に合っているかを専門家から直接教えてもらうことで、セルフケアの効果は大きく変わります。
ひとりで悩まずに、まずは専門家に状態を診てもらうことから始めてみてください。

