
院長:近江お気軽にご相談ください!

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最近、顎が痛い、口を開けるとカクカク音がするという症状で来院される方と話していると、「特に思い当たる原因がない」とおっしゃる方が多いです。でも少し詳しく生活習慣を聞いてみると、ほぼ共通して出てくるのがスマホやパソコンを長時間使っているという習慣です。


実は、顎関節症とスマホを使う時の姿勢には、切っても切れない深い関係があります。首が前に出たいわゆるスマホ首の状態が続くことで、顎関節への負担が静かに、でも確実に積み重なっていきます。今回はその仕組みと、身体全体のバランスから顎を整えるという考え方についてお伝えします。


顎の問題は顎だけを見ていても解決しないことが多い
スマホ首とは、スマホやタブレットを操作する時に頭部が前方に突き出た姿勢が習慣化した状態のことです。正式には「前頭位」や「頭部前方位」と呼ばれます。
人の頭の重さは平均で約5キログラムほどありますが、頭が前に出るほど首にかかる負荷は大きくなります。少し前に傾くだけで首への負荷は倍以上に増えると言われており、これが毎日何時間も続くわけですから、首周りの筋肉や関節にとって相当な負担になります。
そしてその影響は、首だけにとどまりません。
顎関節は耳の前方に位置しており、頸椎(首の骨)のすぐそばにあります。特に第一頸椎・第二頸椎と顎関節は神経学的にも解剖学的にも密接なつながりがあり、首のバランスがくずれると顎の動きにも影響が出やすい構造になっています。
スマホ首によって頸椎のバランスがくずれると、顎関節を取り巻く筋肉や組織にも余計なストレスがかかり始めます。
あまり知られていませんが、姿勢と顎をつなぐ重要な構造として「舌骨(ぜっこつ)」があります。舌骨は首の前面にある小さな骨で、顎の筋肉とも首の筋肉とも連結しています。
頭部が前方に出るとこの舌骨の位置が変化し、顎を動かす筋肉群のバランスがくずれます。これが顎の開閉時の引っかかりや痛みの一因になることがあります。
顎関節症の原因はひとつではなく、噛み合わせ・ストレス・歯ぎしり・食いしばりなど複数の要因が絡み合っています。
その中でも姿勢の問題は、じわじわと気づかないうちに症状を進行させる要因として見落とされやすいものです。ここでは姿勢の乱れがどのように顎関節症につながるのか、その流れを整理してお伝えします。
スマホ首の姿勢では、頭を支えるために首や肩周りの筋肉が常に緊張しています。その緊張は咬筋(こうきん)や側頭筋といった顎を動かす咀嚼筋にも波及します。これらの筋肉が慢性的に緊張していると、就寝中も無意識に歯を食いしばったり、顎に力が入ったりしやすくなります。
結果として朝起きた時に顎がだるい、痛いという症状につながります。
カイロプラクティックの観点では、顎関節症の方の多くに頸椎、特に上部頸椎のバランスの乱れが見られます。頸椎のバランスがくずれると、顎関節への力のかかり方が左右非対称になったり、顎の動きそのものが制限されたりすることがあります。
首を整えることで顎の症状が改善するケースは決して珍しくなく、顎と首を一体として捉えることが重要です。
姿勢の問題は首だけでなく、胸椎(背中の骨)や肩甲骨の動きにも及びます。猫背の状態では胸椎の動きが制限され、その代償として首や顎周りに過度な負担が集中します。
身体は全体でバランスを取っているため、どこか一か所が固まるとその影響が連鎖的に広がっていきます。顎関節症の方の姿勢を見ると、胸椎が丸まり肩が内巻きになっているケースが多いのはそのためです。
顎関節症の改善を目的としたエクササイズプログラムを考える時、顎だけを動かすトレーニングに終始してしまうと、根本的な解決にはなりにくいことがあります。
適切な顎関節症のエクササイズプログラムには、必ず姿勢のケアが含まれます。顎の動きは頸椎・胸椎・肩甲骨の動きと連動しているため、身体全体のバランスを整えることが顎の改善にも直結するからです。
首の深部にある深頸部屈筋(しんけいぶくっきん)は、頭を正しい位置に保つために重要な筋肉です。スマホ首の状態が続くとこの筋肉が弱くなりやすく、結果として首の表層の筋肉が過度に働くようになります。
あごを軽く引いてうなずくような動作(チンタック)を繰り返すことで、この深部の筋肉を活性化させる助けになります。ただし、具体的なやり方は個人の状態によって異なるため、専門家に確認してから取り入れることをおすすめします。
胸椎の動きを取り戻すことが、首や顎への負担を分散させる上で非常に効果的です。タオルを丸めて背中に当てながら胸を開くような動作や、胸椎の回旋運動を日常に取り入れることで、全身のバランスが改善し顎にかかる負担が軽くなることがあります。
これもやり方を誤ると逆効果になる場合があるため、まずは専門家に状態を評価してもらうことが大切です。
スマートフォンを使っている時、自分の首がどれだけ前に出ているか、意識したことはありますか。習慣になっているため、前に出ていること自体に気づいていない方が多いです。
まずは1時間に一度、首をゆっくり後ろに引いて頭の位置を戻す動作を意識的に行うだけでも、首周りの筋肉への負担を変えることができます。
当院では、顎関節症に対して顎関節だけを見るのではなく、頸椎・胸椎・肩甲骨を含めた身体全体のバランスを評価することを大切にしています。
施術では頸椎のバランスを整えるアプローチと、咀嚼筋や周辺の軟部組織へのアプローチを組み合わせることで、顎関節への負担を根本から軽減することを目指します。
また、施術だけでなく日常生活での姿勢の意識やセルフケアの方法もお伝えしています。顎関節症は一度改善しても、生活習慣が変わらなければ再発しやすい症状です。身体の使い方そのものを見直すサポートを、一緒に続けていきましょう。
顎関節症とスマホを使う時の姿勢には、深い関係があります。頭部が前方に出たスマホ首の状態が続くことで、首や胸椎のバランスがくずれ、顎関節への負担が慢性的に積み重なります。
顎関節症のエクササイズプログラムには姿勢のケアが欠かせない理由も、まさにここにあります。顎の症状だけに目を向けるのではなく、身体全体のバランスという視点でアプローチすることが、根本的な改善につながります。
顎の症状と姿勢の悩みを同時に抱えている方は、ぜひひとりで抱え込まずにご相談ください。あなたの身体の状態をしっかりと評価したうえで、今できる最善のアプローチをご提案します。

