
院長:近江お気軽にご相談ください!

院長:近江お気軽にご相談ください!
ゴールキックやパントキックをするたびに、恥骨や鼠径部のあたりが痛む。そんな悩みを抱えているゴールキーパーはいませんか?


サッカー選手の中でも、ゴールキーパーは独特の動作パターンを持つポジションです。その特性から、恥骨結合炎を発症しやすい要因が重なりやすく、気づかないうちに症状が進んでしまうケースも見られます。
「なんとなく鼠径部が痛い」「キックのたびに恥骨のあたりが気になる」という状態を放置してしまうと、慢性化して長期離脱につながることもあります。今回はゴールキーパーならではの身体の使い方に着目しながら、恥骨まわりの痛みの原因と向き合い方をお伝えします。


ゴールキーパーの恥骨まわりの痛みは、キックの動作だけでなく軸足の安定性や筋肉のバランスとも深く関わっています
ゴールキーパーは、フィールドプレーヤーとは異なる独特の動作を繰り返すポジションです。
ゴールキックやパントキック、ドロップキックなど、大きな力でボールを遠くに飛ばす場面が試合中に何度もあります。こうしたキック動作が、恥骨まわりの組織に繰り返しのストレスをかける要因になります。
特に注目したいのが、手でボールを持って蹴るパントキックの動作です。助走なしで大きくボールを飛ばすために、蹴り足側の内転筋群を強く収縮させてキックするクセがついている選手が少なくありません。
この動作パターンが習慣化されると、内転筋群が付着する恥骨結合部に繰り返しの牽引ストレスがかかり続けます。
キックの痛みというと、蹴り足側に注目しがちです。しかし実際には、軸足の安定性がしっかりしていないと、蹴り足で無理に振り抜く形になり、結果として恥骨まわりへの負荷が高まります。
軸足が安定しているかどうかは、骨盤帯全体のバランスにも直結します。蹴り足だけでなく軸足を含めた全身の動作パターンを評価することが、根本的な改善への鍵になります。
ゴールキーパーはキックだけでなく、セービングでの急激な方向転換や片足着地、身体を投げ出す動作も頻繁に行います。これらの動作は骨盤帯に瞬間的に大きな負荷をかけます。
骨盤帯の安定性が低下している状態でこうした動作を繰り返すと、恥骨結合部への負担はさらに増します。守備動作全体を通じた身体の使い方のくずれが、痛みの原因として積み重なっていることも少なくありません。
恥骨結合炎は、左右の骨盤をつなぐ「恥骨結合」という部位に炎症が起きた状態です。初期には「鼠径部がつっぱる感じがする」「股関節のあたりが重い」といった曖昧な感覚から始まることが多く、「大したことはないだろう」と放置されやすい症状でもあります。
症状が進むと、キック時の鋭い痛みや、歩行・階段での違和感、片足立ちでのズキッとした痛みとして現れてきます。ゴールキーパーの場合、セービング後にキックを蹴る際に痛みが強くなるケースが見られます。
一定期間の休養が必要になってしまうことも多く、そうなる前に身体の状態を評価しておくことがとても大切です。
ゴールキーパーが恥骨まわりの痛みを感じやすいのは、ゴールキックで強くボールを蹴る時、パントキックで大きく蹴り出す時、セービング後に素早く立ち上がる時、そして試合後半に疲労が蓄積してきた時です。
疲労が蓄積するほど骨盤帯の安定性が低下し、恥骨結合部への負荷が増すため、試合終盤に症状が強く出やすくなります。「後半になると特に痛い」「試合翌日に歩くのがつらい」という訴えはよく聞かれます。
恥骨まわりの痛みへの対処として、キックの動作パターンを変えることが有効に思えることがあります。しかし長年クセとして身体に染みついた動作を変えることは、現実問題としてとても難しいです。
それよりもまず大切なのは、今ある状態を正確に評価して、内転筋群に過度な負担がかかりにくいバランスをつくっていくことです。
内転筋群は股関節が伸展している時と屈曲している時でそのはたらきが変わります。そのため、「内転筋群が硬い」とひとくくりにするのではなく、どの動作でどの筋肉に問題があるかを丁寧に評価することが必要です。
また、股関節の伸展からの軟部組織のリコイルをうまく利用できるような身体の使い方を習得できると、内転筋群への依存を減らしながらキックの力を引き出せるようになります。
恥骨まわりの症状を考える時、殿筋群とのバランスはとくに重要です。殿筋群が適切に機能することで骨盤帯の安定性が高まり、内転筋群への過剰な負担をやわらげることができます。
殿筋群が弱くなっているか、うまく使えていない状態では、内転筋群が代わりに過剰に働かざるを得なくなります。内転筋群と殿筋群のバランスを整えることが、恥骨結合部への負荷を根本から減らすための重要なアプローチになります。
恥骨まわりのケアで意外と見落とされがちなのが、錐体筋という小さな筋肉です。錐体筋は恥骨の前面に位置し、腹直筋を緊張させるはたらきを持っています。この筋肉の状態が恥骨結合部への負荷に影響することがあるため、評価の際には忘れずに確認したい部位の一つです。
実際に炎症が起きているかどうかはMRIなどの画像検査で確認する必要があります。痛みが長引く時や強い時は、セルフケアと並行して医療機関への受診も検討してください。
恥骨結合炎は、一度発症すると一定期間の休養が必要になることが多く、そのぶん競技から離れる時間も長くなります。「痛くなったら対処する」ではなく、違和感を感じた段階で身体を評価しておくことが、長くプレーし続けるための一番の近道です。
骨盤帯の安定性、内転筋群と殿筋群のバランス、軸足の安定性、錐体筋の状態など、見るべきポイントはたくさんあります。これらを一人でチェックするのは難しいからこそ、専門家の目で評価してもらうことに大きな意味があります。
「まだそれほど痛くはないけど気になっている」という段階でも、ぜひ気軽にご相談ください。あなたの身体の状態をしっかりと評価したうえで、今できる最善のアドバイスをお伝えします。

